あいち保健管理センター第2は、様々な年齢層、多様なお困りごとやニーズを
おもちの方にご利用いただいています。
うつ病とは、主に気分の落ち込みや憂うつな気分が続き、生活に支障が出ている状態です。心だけでなく、身体や行動、考え方などにも様々な症状が現れます。うつ病は日本人の約15人に1人が一生のうちにかかるともいわれています。しかしながら、うつ病の発症には明確な引き金がないことも多く、慢性的なストレスに曝された後に発症することもあります。さらに、うつ病は再発率が高い疾患ともいわれており、一般に初発の人の再発率は約50%、2回目の再発率は約70%、3回目の再発率は約90%になるという報告もあり、再発を繰り返すたびにその後の再発率が上昇する可能性も高いです。そのような特徴から、早期発見と適切な治療が重要であるとされています。
精神疾患の中で、脳の機能的な障害が影響して子供の頃から日常生活や社会生活、対人コミュニケーションなどで困難が生じる疾患の総称です。発達障害者支援法の中では、「自閉症、アスペルガー障害群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
代表的な発達障害には自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)、注意欠如多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)、限局性学習症(Specific Learning Disoeder:SLD)などがあります。
ASDはコミュニケーション能力や社会性、想像力を特徴とした困難さが主な特徴で、とくに対人関係困難が生じやすいといわれています。ADHDは不注意と多動、衝動性が主な特徴で、ケアレスミスや忘れ物の多さ、落ち着きのなさ、衝動的な言動や失言の多さなどの困難が生じやすい疾患です。SLDは、知的能力には問題がないにもかかわらず、読み書き能力や算数能力の中で特定の能力に困難がみられる疾患です。
発達症は本人の努力や家庭環境が根本的な原因ではないとされている一方で、周囲からみると本人の怠けや甘え、家族のしつけの問題だと誤解されてしまいやすいという側面もあります。改善のためには医師による薬物療法や、本人の自己理解を深め無理のない範囲での工夫を身につけるための心理療法、周囲が可能な範囲で本人が自分らしさや強みを発揮できる状況を整える環境調整など、本人と周囲の人々、そして専門家が一体となった包括的な取り組みや支援が効果的であることが知られています。
精神疾患の中で、不安を主な症状とする疾患の総称です。はっきりした理由がないのに漠然とした不安感に襲われる、またはっきりした理由があっても過剰な不安を感じてしまう、不安が強いあまり様々な場面や状況を避けることを繰り返してしまい、日常生活に支障が出てしまいます。不安症では全般性不安症や社交不安症がよく知られています。全般性不安症とは、感情のコントロールが難しくなり、様々なことに対して過剰に不安を感じやすくなってしまう状態です。社交不安症とは、特定の状況や人前に出ることに不安を感じ、避けてしまう、耐えがたい苦痛を感じる状態です。不安症の治療や改善には、薬物療法や心理療法が活用されます。心理療法ではとくに認知行動療法が推奨され、不安を感じる場面での考え方や振る舞い方を工夫し慣れていくことで、改善を図ります。
双極症とは、「躁」状態の時期と「うつ」状態の時期が繰り返し現れ、生活に支障をきたしている状態です。躁状態では、過度に気が大きくなって陽気になったりして、ときに無茶なことをするといったことが起こります。一方、うつ状態になるとまるでうつ病のように気分が沈み、抑うつ感に悩まされます。このような両極端な状態に気分が揺れ動き、自分では十分にコントロールできないという特徴があります。双極症にはⅠ型、Ⅱ型などの種類もあります。双極症の改善には、継続的な薬物療法を基本として、加えて心理療法に取り組むことが推奨されています。
適応反応症
ADJUSTMENT DISORDER
適応反応症とは、明確なストレスが原因で心身に様々な症状が出現し、社会生活を送ることに支障が出ている状態です。一般的には、ストレスの強い出来事(ストレス要因)が発生してから3ヶ月以内に症状が現れ、そのストレス要因がなくなってから6ヶ月が経過するまでに症状が改善するとされています。精神科に通院されている方の推定5~20%が適応反応症と診断されているという見解もあります。適応反応症の改善には、ストレス要因に対処する工夫を増やす、ストレス発散のレパートリーを増やすなどのセルフケアや心理療法が推奨されています。また、薬物療法によって強い症状の緩和をすることで改善のきっかけをつかむことができる場合もあります。
強迫症とは、自分では無駄なこと、不合理なことだとわかっていても、そのことが頭から離れない、わかっていながらも何度も同じ確認をくりかえしてしまうことで、生活に支障が出ている状態です。繰り返し頭の中に浮かび離れたくても離れられなくなる不快な考えやイメージを強迫観念と呼び、強迫観念を打ち消し安心を得るために繰り返してしまう行動を強迫行為と呼びます。たとえば「くりかえし手を洗い続ける」「火の元や戸締りを何度も確認する」「階段や電信柱など気になった数や、頭に浮かんだ数字を数え続ける」といったものがあります。強迫症の有病率はおよそ1~2%とされており、決して珍しい病気ではありません。強迫症の治療には、認知行動療法に含まれる暴露反応妨害法の有効性が確認されています。暴露反応妨害法とは、強迫観念が浮かび不快感を感じる状況に身を置きながらも、安心を得るための強迫行為をあえて行わないことで、段階的な症状改善を目指す心理療法です。また、二次的に抑うつ状態が見られることもあり、薬物療法と並行して行われることもあります。
あいち保健管理センター第2では日中の時間帯に、心や対人関係、社会生活に関する様々なプログラムを提供しています。プログラムでは、ただスタッフから話を聞くだけではなく、他の参加者とグループになって体験や気持ち、考えを共有したり、問題解決についてアイデアを出し合う活動に参加することもできます。グループでの活動を通して、安心感や所属感、社会とのつながりを感じられる、ということをお話しされる利用者様もおられます。また、ラウンジには個人で作業ができるスペースもあり、一人で過ごしたいときの居場所として活用することもできます。このように、当センターではそのときどきの自分の状態や好みに合わせて過ごし方を選び、社会活動の場として活用することができます。