コラム

COLUMN

双極症とは?

こんなことはありませんか?

  • 気分が異常に高揚し、エネルギーが溢れ出す
  • 突然、無気力になり、何もやる気が起きなくなる
  • 考えが次々と浮かび、止められない
  • 睡眠時間が極端に少なくても元気でいられる
  • 衝動的な行動が増える(お金を浪費する、過度に社交的になるなど)
  • 自分の能力やアイデアに過信し、大きな計画を無計画に立てる
  • 急に自分が無価値だと感じるようになる

その症状、『双極症』かもしれません。

双極症とは

双極症(双極性障害)は、気分が異常に高揚する「躁状態」と、極端に落ち込む「抑うつ状態」を繰り返す精神疾患です。これらの気分の波は、日常生活や仕事に大きな影響を与えます。

DSM-5-TR(『DSM-5-TR精神疾患の診断・統計マニュアル』)では、双極症を以下のように分類しています。

双極症の種類

双極I型障害

躁状態と抑うつ状態が交互に現れ、躁状態が非常に重篤で、入院が必要になることもあります。

双極II型障害

躁状態が軽度の「軽躁状態」として現れ、抑うつ状態が主に見られます。軽躁状態は、入院を必要としないことが多いですが、抑うつ状態は非常に重篤です。

気分循環症

軽度の躁状態と抑うつ状態が持続的に現れ、症状が2年以上続く状態です。完全な双極I型やII型の基準には達しませんが、日常生活に影響を及ぼします。

双極症の症状

双極症の症状は、多岐にわたります。以下に、代表的な症状を挙げます。

躁状態の症状

  • 異常なほどのエネルギーと活動性
  • 睡眠欲求の減少(ほとんど寝なくても平気)
  • 自尊心の肥大(自分が特別な存在だと思う)
  • 思考の急速な飛躍(考えが次々と浮かぶ)
  • 衝動的な行動(浪費、過度な社交、リスクの高い行動)

抑うつ状態の症状

  • 持続的な悲しみや空虚感
  • 以前楽しめていた活動に対する興味や喜びの喪失
  • 食欲や体重の変化
  • 睡眠障害(過眠または不眠)
  • 疲労感や無気力
  • 自己評価の低下(自分を無価値だと感じる)
  • 自殺念慮(死についての考えや、自殺を考えることがある)

双極症の原因

双極症の原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っています。主な要因として以下が挙げられます。

  • 遺伝的要因
    家族に双極症の患者がいる場合、発症リスクが高まります。
  • 生物学的要因
    脳内の神経伝達物質の不均衡が影響します。
  • 環境的要因
    ストレスフルな出来事や生活環境が引き金となることがあります。

双極症の治療

双極症の治療には、薬物療法と心理療法が中心となります。

薬物療法

気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなど)は、躁状態と抑うつ状態の両方を安定させる効果があります。
抗精神病薬(オランザピン、リスペリドンなど)は、特に躁状態の症状を抑えるために使用されます。
抗うつ薬は、抑うつ状態の治療に用いられますが、慎重に使用する必要があります。

心理療法

  • 心理教育
    双極症の病態、治療方法、気分変動のサイン、ストレスマネジメントの方法についての教育を行います。
  • 家族焦点化療法
    患者の家族が治療プロセスに積極的に関与し、患者の再発予防や症状の管理を支援することを目的としています。家族内のコミュニケーションの改善や家族のストレスマネジメントも行います。
  • 対人関係社会リズム療法
    患者の生活リズムを安定させることで、気分の波を抑えることを目的とした療法です。社会リズムの安定は、双極症の管理において重要な要素です。
  • 認知行動療法
    ネガティブな思考や行動パターンを認識し、それを現実的で機能的なものにできるように支援します。

お困りの方は

双極症の症状に心当たりがある場合は、専門医の診察を受けることが重要です。早期の診断と適切な治療を受けることで、日常生活や仕事の質を向上させることができます。
双極症は適切な治療により管理可能な病気です。専門家の支援を受けながら、適切な対処法を学び、生活の質を向上させましょう。

おひとりで悩まず、誰かに相談することで、早期の診断と治療を受けることが大切です。
医療機関に相談することで、あなたに最適な治療法を見つけることができるでしょう。